トゥインクルレース
オグリが勝った安田記念の後、オークス、ダービーと東京競馬場で観戦した4人は、ダービーの夜も酒を飲みながら競馬談義に花を咲かせていた。
アグネスフウジンが勝ったダービーの余韻に浸る者、皐月賞馬ハクタイセイを応援していた者、メジロライアンの逆転に賭けた者など様々ではあったが、レース後は競馬場全体で沸き起こったナカノコールで盛り上がり、馬券の当たった外れたなどはあまり気にせずに、ダービーという競馬の祭典に酔いしれていた。
そしていよいよ再来週はオグリが挑戦する宝塚記念だ。
須々木は前々から思っていたことを、この日一緒にいた匠や慎吾や日向に伝えた。
「宝塚記念を観に行こうと思っているんだけど、皆で一緒に行かないか?」
「えっ」残りの3人は皆一同に驚きの声をあげた。宝塚記念は阪神競馬場で行われる。東京や中山や大井のように簡単に行ける場所ではない。安田記念の夜に、オグリが海外遠征をする時は観に行こうなんて騒いでいたけど、そんなことは須々木以外は考えても見なかったようだ。
「宝塚観に行くって、どうやって行くんだよ?電車賃だけでも往復で2万以上するだろう?!」匠は須々木に質問した。日向も慎吾もうなずいた。
須々木は答えた。「水曜日の大井で、怜子と初めて応援した思い出の馬でもあるグッドラックが、半年ぶりにメインのブリリアントカップに出走してくる。休み明け明けで多分人気はないが、勝てると踏んで家族揃って応援に行くので、この馬の単勝を2千円も買えば、多分交通費と馬券代くらいは出るよ」と・・・
「おー馬主情報ですね」と日向が尊敬の姿勢を示しながらも茶化し気味に突っ込みを入れると匠と慎吾も笑いながら同じように茶化してみせた。
そんな突っ込みにも負けずに須々木は話を続けた。曰く、怜子の父の愛馬が走る時、家族揃って観戦に行くときは、極めて勝率は高いんだそうだ。もちろん競馬に絶対はないから確実という訳ではないけれど、可能性は高いと思うと。
「ヨシっ、そんな美味しい話があるのなら、大井で儲けて宝塚に行くか!!」と匠が叫ぶと、日向も慎吾も「大井で儲けて宝塚へ行こう~」と叫び、あっという間に全員一致で決定し、大笑いして更に飲んだ。
そして、水曜日の授業が終わった後、大井競馬場パドックに集合ということで、この日は別れたのだった。

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